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「シャバシャバ? 何それ」
「食べてみて」
お母さんにフォークを渡して、食べるよう催促する。
少しだけ戸惑いながら、お母さんも桂木さんが作ったケーキを一口食べた。
「……すごいはこれ。こんなに見た目は良いのに味が全くしない」
それが桂木マジックです。
「あと何か……すごいシャバシャバする」
「でしょ? 桂木さん、完璧そうに見えるけど、料理は……ちょっとアレなんだよね」
ま、そんなことは置いといて。まずこのシャバシャバする味の無いケーキを完食してから、箱返しに桂木さん家行こ。
ケーキの感想も伝えたいし。
「……どうしたの?」
とか思ってお母さんからフォークを返してもらおうと思ったら、お母さんは何かすごく考えた様子で立っていた。
「これって、梓ちゃん1人で作ったのかな」
「え? そうじゃない。だって、両親共働きなんだし……」
「……わかった。とりあえず亮太」
はい?
「梓ちゃん呼んで。ウチに」
どこでそうなったどこで。あととりあえずってなんだ。絶対使い方間違ってるだろ。
「ええっと……何で?」
「いいから。あなたは今日誕生日なんだから少しは人の言う通りに行動しなさい」
……誕生日って、人のために行動するものなの?
逆じゃね? 普通。
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