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おばさまの運転で、今私はデパートに向かっている。
佐藤君に呼ばれて、初めて佐藤君からのメールに喜びながら向かったけど……ケーキ、不味かったんだ。
ハァ……。
「何ため息ついてるの?」
……おばさまにケーキが不味いと即答されたからです。
でも、言ってくれて良かったかも。
「いえ、私って……料理ダメだなって思って」
最近佐藤君に料理上達してきたよって言われたから、少し浮かれてた。まだまだヘタッピだって、実感した。
「そんな小さくならなくても、梓ちゃんは誰からも料理教わってないんでしょ? なら仕方ないわよ」
さっきからその一点張り。確かに教えてもらってないけど、本とか見たら出来ると思ったのに……。
「料理本とかだけじゃ駄目なのよ料理って。ちゃんと見て覚えなきゃ」
「でも、家族で料理なんてする機会がないですから」
「だから私が教えてあげるわ。安心して」
教えてもらって……出来るかな。
「そんな不安そうな顔しないで。私だって最初から料理作れた訳じゃないんだし、誰だって最初は苦手なの。梓ちゃんもちゃんと手順とかわかれば絶対料理上手くなるから。美味しいケーキ作ろっか」
優しい言葉で話すおばさま。
「はい」
私もこんなお母さんが良かったって思った。
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