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「じゃあ梓ちゃん、卵白をお願い」
「あ、はい」
「砂糖も入れてね」
「はい」
「……入れ過ぎじゃない?」
「え、あ、すみません」
「まあ良いわ。とりあえず砂糖が無くなるまで混ぜてくれる?」
「はい……きゃッ」
「だ、大丈夫?」
「はい……すみません、卵白全部こぼしちゃいました」
「あらあら。良かった卵多めに買って置いて。私も手伝うから、ゆっくり作りましょ」
「……はい。ごめんなさい」
あー、私ホントにダメだ。
それからおばさまと一緒に生地の元を作って、焼いてる途中にクリーム作り。
おばさまと一緒に液体の生クリームを混ぜて個体にしている。
「梓ちゃんもう少し全体を混ぜるように回してあげて。そうすればダマが出来にくいから」
「はい」
「そ。上手」
おばさまの作るクリームを横目で見ると、私のより断然綺麗に仕上がっていた。
「どうすればおばさまみたいに綺麗に出来るんでしょうか……」
私が作って、佐藤君に美味しいって言ってもらえるのか……不安がすごい。
「別に梓ちゃんのも綺麗だし、大切なのは見た目じゃなくて気持ちよ。気持ち」
「気持ち……ですか」
「さっき話してた、私が作り直したケーキも見た目は酷いものだったわよ。でもね、見た目なんて二の次。大事なのはどれだけ想いを込めて作るか。そうすれば、自然と美味しくなるわ」
……想いを込める。
「わかりました。一生懸命作ってみます」
「ふふ。頑張って」
自然と腕に力が入った。
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