柑橘系女子

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   本棚には、図鑑や参考書がずらり。マンガなんて物はない。机の上にはレポート用紙が数枚。  カーペットは薄オレンジに、こたつ。その上にはみかんが六つ。  布団はオレンジ色で、カーテンは薄緑。  壁に掛けられた時計の針は、17時30分を差していた。  現在、俺は桂木さんの部屋に上がっている。  勉強を教えてもらって、お願いがあるから着いてきてって言われて、気付けばこの場所に……。  ……緊張する。そりゃそうだ、好きな女の子の部屋に上がってるんだから。  桂木さんはこの部屋で……勉強したり、本読んだり…… 「寝たりしてるのかな……」 「……寝たり、するよ?」 「うわ、びっくりした!」  物音も立てずに……。階段を上る足音が全く聞こえなかった。 「オレンジジュース、飲む?」 「あ……いただきます」  恥ずかし……誰もいないと思ったから、思わず独りごと言ったら、まさか聞かれるなんて……。  桂木さんから勧められたオレンジジュース。  飲んでいる間も、こたつの向かいに座ってる桂木さんはじっと俺の方を見ていた。 「……で、お願いって何?」  コップを置いて、桂木さんの目を見る。
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