柑橘系祝福

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 これだけ近付いても、佐藤君は可愛い寝顔をして眠ってる。  …………これは、チャンスだ。  私は周りに誰もいないことを確認してから、携帯を取り出して、こっそり佐藤君の顔に近付けて……  カシャ。  ……待受に設定……よし。やった。待受画面が佐藤君になった。  可愛いな……何でこんなに可愛いんだろう。  無意識に、つんつんと人差し指で佐藤君の頬を突っつく。  少しムッとした表情になった佐藤君。起きたかな……と思ったら、また寝息を立てて元の表情に戻った。  それがまた可愛らしくて、何度も何度もそれを繰り返してしまった。  そして十七回目のとき。 「……何してるの?」  佐藤君が起きてしまった。しかもちょうど頬に人差し指を押し付けてるときに。 「……ケーキ出来たよ」 「そっか。で、何してるの?」 「佐藤君寝てたから……うん」  長くなるから中略。 「何に納得したのか知らないけど……。とりあえずお腹空いたからケーキ食べたいな」 「わかった。少し待ってね」 「うん。とりあえずそろそろ人差し指離してくれる?」  佐藤君の頬から渋々人差し指を離して、ケーキを切り分けて皿に乗せる。 「はい……これ、一生懸命作ったから。どうぞ」  ソファに座る佐藤君に、手を伸ばしてケーキを差し出す。  足は自然と正座になっていた。 「ありがと。……いただきます」  緊張してきた……。  そんな私を気にすることなく、佐藤君はゆっくりフォークを刺して、ケーキを口に運んだ。
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