柑橘系雨々

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   雨だ。  良かった。傘持ってきて。  朝晴れたから悩んだんだけど、天気予報信じて正解だった。  雨が降り始めた7限目が終わる5分前。  集中力の切れたクラスは黒板から窓の外に意識が向いた。  みんなが窓の外を見てる中、俺は横目で、こっそり桂木さんを見ていた。  桂木さんも、クラスのみんなと同じように雨を見ている。  お母さんに桂木さんをどう思ってるのか聴かれて、答えれなかった日。1晩じっくり考えてみた。  その次の日の登校のときも、授業中も、昼休みも、下校中も。  でもわからなかった。わかったのは『嫌いじゃない』ってことくらい。  だって、嫌いだったらすぐに答えが出るはずだから。答えが出ないってことは、嫌いじゃないってことだと思う。 「亮太、何みかんちゃんの方見てんだよ。まだ悩んでんのか?」  後ろの席の友達、降屋には既に相談済み。  『桂木さんが好きなのか嫌いなのかわからないんだけど、どっちに見える?』って聞いたらすごい驚かれた。昼休みのトイレの中で。  どうやら俺と桂木さんが付き合ってないということに驚いたらしい。ずっと言ってたのに。 「……うん」 「ま、そう簡単にわかるものじゃないよ。特に、お前らみたいに常に一緒にいると」  常に一緒に……いるな、そう考えれば。一緒に下校するし、家にも来たし。 「俺の彼女だって幼馴染ってやつでさ、好きだって気付くのに時間掛かったもんな……。今じゃラブラブだけど」 「そうか。お前今日雨降ってるけどクラブあるの?」 「軽くスルーされるほど辛いものはないぞこのやろー。あるよ。トレーニングルームで筋トレが」  そっか。クラブあるのか。別にどうでも良いんだけど。 「あ、でも傘忘れたんだった。クラブ終わる頃には晴れるかな……」 「結構強く降ってきたから、無理なんじゃない」  桂木さん、傘持って来てるのかな。
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