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授業終了のチャイムが鳴ると同時に、みんなが「雨だー」とか言いながら帰る支度を始める。
もちろん俺もその中の1人で、机の中に教科書をそのまま、ルーズリーフと筆箱だけを指定バックへ。
あれ? 桂木さん、もういない。
いつもは俺が教室を出るまでいるのに……。
ま、いっか。
「んじゃ、クラブがんば」
「ほーい、お疲れ」
「お疲れー」
1人、教室を出て下駄箱へ向かった。
廊下の窓から外を見ると、結構な大降りだということがよくわかる。
通り雨かな? そんな雰囲気もする。そうだといいけど。
授業終わりと雨が降り出したということで騒がしい廊下とは違って、少し静かな下駄箱で靴に履き替える。
あ、ミスった。これ結構お気に入りの靴だったのに。雨でぐちょぐちょになるな……家帰ったらちゃんと新聞紙入れとこ。
そんなことを思いながら、傘を下駄箱を出で傘を開くと
「……桂木さん?」
「あ、佐藤君」
下駄箱の出たところ、入り口の横で、壁に持たれて立っている桂木さんがいた。
髪から水が滴って、制服が濡れて透けている。かなり濡れてるみたいだ。
「何でそんなに濡れてるの?」
「えっと……傘を忘れて、走って帰ろうとしたんだけど……結構雨が強かったから、戻って雨宿りしてるの」
そうなんだ。と返事をして、目に入ったのは開いたばかりの俺の傘。
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