被害者の心境

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『で、結局……君は何を相談しに電話してきたの?』 「え? だから、ストーカーを好きになってしまったんです」 『そうじゃなくて。その子とどうなりたいの? 付き合いたいの?』 「……付き合い、たいです」 『ならすぐに告白すればいいと思うよ。悩むことなんて無いじゃない。両想いなんだから』 「……でも」 『……』 「仲が良いって言っても、少し他人行儀ですし……」 『仮に、その女の子の名前を田中A子ちゃんとしましょ。あなたはその子のことを何て呼んでるの?』 「え……田中さん、です」 『それじゃあいつまで経っても他人行儀のままよ。まずは名前で呼ばなきゃ』 「名前でですか……」 『うん』 「……わかりました。とりあえず他人行儀で接するのをやめてみます」 『他人行儀が無くなったら、ちゃんと自分の気持ちを伝えるようにね』 「……わかりました」 『……さて。相談は以上でよろしいですか?』 「あ、はい。ありがとうございました」 『こちらこそご相談のお電話ありがとうございます。また……何かありましたらお電話くださいませ。担当は私、田中が対応させていただきました』  ガチャ。ツー、ツー。  田中さん、か。覚えとこ。  他人行儀を無くすために名前で呼ぶ、なんて……俺出来るかな。  ずっと桂木さんって呼んでるから、いきなり名前ってのもちょっと。  でも、それからしないと何も始まんないし。  好きな子とは、やっぱ親密になりたいしね。
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