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勉強を始めて3時間程。
時刻は19時を回り、もうすぐ下校時間。
周りを見渡せば、図書室には俺とあずぴょん……じゃなかった。桂木さんしかいなかった。
「……ふぅ」
身体を伸ばしながら、背もたれに持たれる。
俺が3時間もぶっつけで勉強とか……降屋が聞いたら驚くだろうな。
「疲れた?」
ま、それも下から覗き込むように俺を見てる桂木さんのおかげだけど。
「うん。かなり」
結局、まだ名前で呼べてない。
「もうこんな時間だし……そろそろ、帰る?」
どうしよ。どう言おう。
悩んでる場合じゃない。普通に『勉強教えてくれてありがとう』て言って、その語尾に名前を付ければいいだけじゃないか。
「うん……帰ろっか」
「……うん」
頷いて、桂木さんは席を立って帰る準備をし始める。
……今しかない。
「あ、その」
声を出すと、桂木さんは帰る準備を止めて、俺と目を合わした。
「その……ありがと、梓」
……緊張してセリフが飛んでしまった。
「……」
驚いた様子で固まってる桂木さん。
……やっぱり、いきなり名前で呼ぶのは変だったかな。
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