柑橘系勉強

7/10
2812人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
「……あずぴょんの方が良かった?」  と、冗談を加えたところでようやく桂木さんが反応を示してくれた。 「ふふ……梓で良いよ。亮太君」  少し顔を赤くして、俺と目線を反らして照れた様子で帰る準備を再開する。  良かった。やっと名前で呼べた。  ……でも名前で呼ばれるのは、ちょっと照れるな。  俺も帰る準備をして、作ってくれた対策ノートを借りて『梓』と一緒に下校した。  それからは、わからないことがあれば梓に質問した。  最初は名前で呼んで何かぎこちない感じだったけど、少しずつ慣れてきた。  名前で呼び始めて変わったことは、梓からのメール。  今までは『おはよ』『おやすみ』だったけど、今は  『おはよ。亮太君』  『おやすみ。亮太君』  と名前がプラスされた。  それ以外は特に変化は無い。ただ呼び方を名字から名前に変えただけだし。  ただ、好きな女の子から名前で呼ばれるのが照れる。嬉しいけど。  テストの出来は良かった。絶対梓のおかげ。これだとお父さんにも怒られないだろう。 「……嘘だろ。俺より平均点が10点も高いだと?」  全体の成績が発表された、6月30日。  俺の成績表を見た降屋がそんなことを言った。 「いや、頭の悪いお前と比べられても……」  ちなみに平均点は76。  赤点は1個。  全体でちょうど真ん中くらいの成績だって担任の先生に言われた。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!