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「……あずぴょんの方が良かった?」
と、冗談を加えたところでようやく桂木さんが反応を示してくれた。
「ふふ……梓で良いよ。亮太君」
少し顔を赤くして、俺と目線を反らして照れた様子で帰る準備を再開する。
良かった。やっと名前で呼べた。
……でも名前で呼ばれるのは、ちょっと照れるな。
俺も帰る準備をして、作ってくれた対策ノートを借りて『梓』と一緒に下校した。
それからは、わからないことがあれば梓に質問した。
最初は名前で呼んで何かぎこちない感じだったけど、少しずつ慣れてきた。
名前で呼び始めて変わったことは、梓からのメール。
今までは『おはよ』『おやすみ』だったけど、今は
『おはよ。亮太君』
『おやすみ。亮太君』
と名前がプラスされた。
それ以外は特に変化は無い。ただ呼び方を名字から名前に変えただけだし。
ただ、好きな女の子から名前で呼ばれるのが照れる。嬉しいけど。
テストの出来は良かった。絶対梓のおかげ。これだとお父さんにも怒られないだろう。
「……嘘だろ。俺より平均点が10点も高いだと?」
全体の成績が発表された、6月30日。
俺の成績表を見た降屋がそんなことを言った。
「いや、頭の悪いお前と比べられても……」
ちなみに平均点は76。
赤点は1個。
全体でちょうど真ん中くらいの成績だって担任の先生に言われた。
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