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「それでもお前、国語82点あるじゃねえか。俺も川崎にノート借りれば良かった」
……教えてもらったのは、梓なんだけどね。
「ちゃんと礼しとけよ。テスト前にわざわざお前にノートを貸した川崎と坂下と、俺に」
「……そうか、お前に経済学のノート借りたから赤点だったんだ」
「なんだとこのやろー」
そうだな。テスト前に関わらずずっと梓に勉強教えてもらってたんだから、何かお礼しなきゃ。
「お礼か……何がいいだろ」
「俺購買のカレーパンが良い」
カレーパンか。梓はみかんパンの方が嬉しいだろうな。……みかんパンって何だ?
キーンコーン、カーンコーン。
「あ、もうクラブかよ。んじゃ、お疲れ」
「行ってら~」
降屋が荷物を背負って教室を出て行くのに連られるよう、クラブ生はクラブへ、帰宅部はお喋りしながら教室を出て行った。
「今日は授業中に寝なかったね」
教室に誰もいなくなるとすぐに、いつも梓が隣の席に座りながら話し掛けにくる。
「さすがにテスト返しだったし」
今は、この時間が楽しい。
「テストどうだった?」
「いつもより良かった。ありがと、教えてくれて」
「ふふ。どういたしまして」
……お礼、どうしよ。
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