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「梓は何か好きなものとかある?」
思わず聞いちゃった。
「好きなの? 亮太君」
「ああ、うん。どうも」
真顔でありがとうございます。
「……? どうしたの、急に」
「いや、テスト前に何度も梓に勉強教えてもらったからさ、何かお礼したくて」
そう言うと、梓は少し嬉しそうな表情をした。
「お礼? 私に?」
「うん。何が良い?」
「えっとね、えっとね……」
声を出しながら、視線を斜め上にして何が良いか考えてる梓はすごく可愛らしかった。
何だか純粋、っていうか……清楚な感じがして。
「亮太君が欲しい」
前言撤回。
すごく電波です。
「え、俺?」
「うん。私前からずっと、亮太君が欲しいって思ってたの」
そこで区切って、また喋り始めた。
「だって亮太君といるとすごく落ち着くし、初めて私の家に来たとき一緒にベット入ったの……覚えてる? あの次の日もベットにまだ亮太君の匂いがして、亮太君を感じることが出来てすごく幸せだったの。だからまた一緒に亮太君を感じながら眠りたい。あとね、亮太君のほっぺたの柔さが忘れられないの。ずっと何か代わりになる物を探してるんだけど……見つからなくて。あとまた私が亮太君のご飯作りたいし。それもどれも、亮太君が側にいれば出来ることだから……私は、亮太君が欲しい」
忘れてた。梓はこんな子だった。
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