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「さすがに勉強教えてもらったくらいじゃ……俺の人権は譲れない」
もっとフランクなものだと思ってたけど、やっぱりそこはみかんちゃんだな。
……みかんちゃんだなってことで納得して今のを流すなんて、俺もだいぶ変わってると思う。
「ええ、それじゃ……」
また考え始めた。今度はもっと普通だといいけど……。
「……それじゃ、その……」
すると。梓は急に頬を赤く染め、少し俯いて声を出した。
「来月の、塚本町の花火大会……亮太君と、一緒に行きたいな」
「花火大会?」
「うん。亮太君と、2人で……。ずっと行きたかったの。亮太君と、2人でどこかに」
今のを照れながら話すのにどうして俺が欲しいとかは普通に話せるんだろ。
「……要するに、デートってこと?」
「…………うん」
白い髪に揺らしながら、小さく頷いた。
そんなことなら全然。俺も梓と行きたいし。
「じゃあ、行こっか。花火大会」
そう答えると、梓はパァッと明るくなって俺と目を合わす。
「うん!」
花火大会か……まだまだ先だけど、楽しみだな。浴衣、家にあったっけ。お母さんにまた聞いてみよ。
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