被害者の相談

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「…………それを聞くためにわざわざ呼び出したのか?」  うん。と返事をしながらボールを投げた。 「それメールで良くね?」  バシッとまた音を立ててミットに収まる。 「いや、文字にしようと思ったら何かこっ恥ずかしくてさ」  また一定のリズムでキャッチボールが始まった。 「はは、面白いなお前」 「何がだよ」  バンとミットに入る。やっぱたかがキャッチボールでも現役野球部とじゃ差が出るな。 「どうせお前、みかんちゃんとの花火大会が楽しみで仕方ないんだろ?」 「……何でそう言い切るんだよ」  投げるモーションに入りながら言い返す。 「だってお前、みかんちゃん大好きだろ?」  腕に力が入って、投げたボールは降屋の遥か頭上を過ぎて行った。 「おい、何してんだよ」 「悪い……」  お前が変なこというからだろ、アホ。 「……だってさ、お前」  ボールを持って、小走りで戻って来ながら降屋が声を出す。 「毎日みかんちゃんの弁当食べてるし、一緒に帰ってるし、授業中もみかんちゃんの方ばっか見てるじゃねーか」  …………。
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