柑橘系女子

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「そう、バセバジュウイチ!」  思い出せたスッキリ感で、大声を出してしまった。 「それが、わからない」 「へ?」 「どうして、baseballをバセバジュウイチと読むのか。すごく気になって、辞書やネットで調べたけど、どこにも載ってなくて……ずっと、佐藤君に聴くチャンスを探してたの」  もしかして、授業とかに感じてた視線は……それが理由? 「まさか、お願いって……」 「うん。ずっとそれが聴きたくて。佐藤君、どうしてバセバジュウイチって読むの?」  そこまでして……知ることでもないのに。 「すごく、くだらないよ?」 「いい、教えて」  ……そこまで言うなら。 「えっと……『baseball』の『baseba』をローマ字読みで『バセバ』。『ll』は数字の11に似てるから『ジュウイチ』。これを合わせて、『バセバジュウイチ』」 「……?」  そんな不思議そうな顔をしないでください。 「え……終わり?」 「終わり」 「バセバ、ジュウイチ」 「バセバジュウイチ」 「……くだらないね」  言ったじゃん……。 「でも、何でこんな言い方したの?」 「あのとき、降屋って中学からの友達がさ、baseballの綴り間違えてたから教えてやったんだよ。あいつ超馬鹿だから」  けど、よく考えればあいつが超馬鹿だから、今俺はこうして桂木さんと桂木さんの部屋で二人きりになってるのか……。  降屋、ナイス。
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