柑橘系手紙

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   もうすぐ待ちに待った夏休み。  夏休みは宿題があるから嫌だけど、夏休み始まってすぐに梓と夏祭りに行くから楽しみだ。  浴衣も買った。お金もある。再試もない。  あとは適当に学校に通って休みを待つだけ。だった。  夏休み直前。何気なく携帯のカレンダーを開いてみると、7月16日に予定が入っていた。  特に予定を入れた記憶はなく、何だろうと思いながらボタンを押すと。  『桂木 梓さんの誕生日です』  なんと梓の誕生日。  へえ、7月生まれなんだ。とか思ってたけど、よくよく考えたら梓は俺のために二回もケーキ作ってくれた訳だし、俺も何かプレゼントした方が良いと思った。 「……で、何で私に?」 「いや、何買って良いかわからなくて……。女の子ってどんな物貰ったら嬉しいの?」  金曜日の体育の授業中。同じグループでランニングをしている、同じ中学校の岡崎里穂に相談している。  降屋にどんなプレゼントが良いか聴いたところ、女の子がどんな物が欲しいかは女の子に聴くのが一番。ということで仲の良い岡崎に聴くことにした。  ちなみに梓は違うグループで、体育館でバスケット。 「そうだね……梓ちゃん、あんまり話さないから何が好きかあんまりわかんないし。みかんが好きなのはわかるけど」  ……確かに、梓がクラスの女子と喋ったりしてるところを見たことがない。  今話してる岡崎里穂という女は、少しうっとうしいくらいに周りの人間と絡む奴だが、それでも梓とは話したことがあんまり無いという。  梓って……友達いない?
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