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「なーんーでーやー」
一度言い出したらなかなか引き下がらない宮斗を教室に残して、一人学校を出た。
季節は夏。
ミンミンとうるさい蝉が夏の暑さを引き立たせる。
桜の木は既に蒼い。
なんとかを影通ろうとするも、建物が少ない道には影も少ない。
つまり、真夏の太陽の日差しを直接受ける他ないということだ。
「暑…」
夏にはお決まりの台詞を吐きながら、道端のペットボトルを蹴る。
弾みよく転がるペットボトルはある場所を期に不自然に止まった。
「ん?」
まるで見えない壁が存在したかのように止まったペットボトルはただそこに在るだけ。
‘それ’を拾おうと‘それ’に近づいた。
――カンカンカンカン
甲高い音を響かせた先には在るはずもない路線が広がっている。
声を出そうも出せない。
数秒も経たないうちに黒い何かが目の前にとまった。
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