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まじまじとちっさい人間を見てみると、黒いターバンを頭に巻きアラブなんかでいそうな民族衣装を身にまとっている。
大きさは俺の掌に乗るぐらいだろうか。
「何ジロジロ見てんだよ。」
俺が見てるのが気にくわないのか、少し睨んでくる。
俺は手元に目線をそらすと、一口しか吸ってない煙草は既にフィルターまで短くなっていたことに気付いた。
「あーあ。せっかくの願い事が一つ減っちまったな。」
もう吸える部分がない煙草を消していると、ちっさい人間は意味不明な発言をしてきた。
「今、何て?」
少し興味深い一言に俺は質問してみる。
「だーかーらー。煙草20本あるだろ?その分俺様が願いを叶えてやるっつってんだよ。」
「一言もそんなの聞いてないですが。」
聞いた俺が馬鹿だった。
こんなちっさい人間が20個も願いを叶えるだって?
そんなの信じる奴がどこにいんだよ。
「あ、その目。お前信じてないだろー。」
ニシシ。と、まるで子供が悪戯をした時のような悪どい笑みを浮かべるちっさい人間。
誰が騙されるかよ。
馬鹿らしい話に俺はちっさい人間を無視して、テレビを見だした。
「ちょ、無視すんなよオイ。」
「おーい洋輔くーん。聞こえてますかー?」
「えっ、ちょ、マジ無視?てか俺の存在ガン無視?」
マジうるせえ。
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