俺と煙草とちっさい魔神

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いつの間にやらテーブルの上に降りていたちっさい人間は、わざとらしく俺の視界の中で三角座りになり、机に小さい゛の゛の字を永遠と書き続けている。 何だか少し可愛…じゃなくて、可哀想になってきた。 「あーもう分かった!話聞くからいじけんな!」 観念した俺は、ちっさい人間にようやく話しかけた。 「…本当か?」 顔だけこっちを向いてハの字に下げた眉が、何だか少し笑えた。 「聞くって!な?」 俺がそう言うと効果音でいう「パアッ」とした顔でいそいそと近づいてきた。 「しゃ、しゃあねぇなー!んじゃ俺様が説明してやるからちゃんと聞けよ?」 何だか分かりやす過ぎて、憎めない奴だ。 「よーく聞けよ? 俺はいわゆるアラジンで言うランプの魔神、ジーニーみたいなものだ。 アイツは3つしか願いが叶えられないが、俺様は偉いからな。煙草の数分20個の願いを叶えられるんだ。」 「なるほど。煙草の魔神ってことか。」 「ニュアンス的に格好悪いからやめてくんない?それ。」 根気に負けて聞いたものの、何だか信じられない話だな。 まぁ、目の前にコイツがいること自体、信じられない光景なんだけど。 「まだ信じてないって目だな。そんなに信用出来ないなら試しに1つ、願い事言ってみろよ。」 ちょっと意地になってきたのか、頬を膨らまし睨み付けてくるちっさい人間。 .
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