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「くぉら糞ガキがっ、勝手に人の家の庭に入ってくるんじゃないっっ!!」
「うわっ!」
ぼくは怒鳴られてびっくりし、おじぃさんの家の庭を大慌てで逃げ出した。
なんておっかないおじぃさんなんだ、ヘンクツおじぃさんはとっても恐い人だ。
でも、気になる。どうしておじぃさんはお空に行きたいんだろう…………
◆
今日から夏休み。夏休みは虫さん採りに海にプールに花火、いっぱいの楽しいことがある。どれも楽しみだけど、ぼくはおじぃさんのことが気になっていた。
昨日は勝手にお庭に入って怒られてしまったから、今日は、ちゃんと入っていいかどうかを確めてから、おじぃさんにお空に行きたい理由をきくことにするんだ。
お母さんが買ってくれた麦わら帽子をかぶって水筒を持ってじゅんびかんちょう。
「行ってきまーす!」
お台所で洗い物をしているお母さんに行ってきますの挨拶をし、家を出る。
お外に出たしゅんかん、もわもわっと暑い空気がやってきて、シャンシャンシャンとセミさんたちの大合唱が耳にはいってきた。地面からは湯気がたっていて、ゆらゆらと世界が揺れているように見える。
なんとなくお空に浮かんでいる大きなモクモク雲を見ながら、ぼくはおじぃさんの家に向かうことにした。
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