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翌日の深夜
繁華街の路地裏で里桜が“食事”をしているとカランカランと下駄の音が聞こえ振り返り、暗闇から現れた綾華が真っ白な着物を身に纏い短刀を手に里桜を睨んでいた
「綾小路里桜。これ以上、貴方の好きにはさせません」
「あら~、綾華様?ご機嫌よう」
「奴良組総大将 ぬらりひょんの孫、奴良綾華。この名において、貴方を殺します」
綾華は鞘から刀を抜いた瞬間妖怪の姿へと変貌し、“ゆっくりと”髪は黒に着物は桜色に変化した筈なのだが“認識出来なかった”
綾華はフワリと姿を消し次の瞬間里桜の後ろに立っており、短刀を首に押し当てて殺気を放っている。里桜は傍目にも分かるくらいにガタガタと震えながら生気の無い男から手を離し、綾華は微笑みを浮かべて里桜の耳元に唇を寄せて話し掛ける
「ヒッ!!ま、待ちなさい!!私は、人魚組の長として…!!」
「私が入学してからずっと見逃してきたのです。総会への不参加、奴良組への忠誠心の無さ、大きな態度。私が負ければ不問にすると仰います総大将の寛大なご配慮、ありがたく頂戴なさい」
「ま、待って下さい!!これからは心を改めます!!どうか……どうか命だけは…!!」
「……その言葉、誓いなさい」
「誓います!!奴良組の傘下として恥じぬ行動を!!」
「…………分かりました、総大将に伝えます」
「ありがとうございます」
綾華は少し悩みながらも短刀を鞘に収めてフワリと姿を消すと里桜はその場に座り込み、綾華は少し離れた所で短刀を帯に挟み人間の姿に戻ると本家である実家へと脚を向け寄り道をしながら帰る
「総大将、ただいま戻りました」
「おぉ、帰ったか」
21時過ぎた頃綾華は実家へ帰り着き広間で報告を待つ祖父の元へ行き、人間の姿のまま総会に参加し軽く頭を下げる
「人魚組の件不問にして頂きとう御座います」
「リョウカ様、それはなりませぬ。人魚組は腑抜けで御座います」
「一つ目入道様、私の顔に免じてお願い致します」
「リョウカ様」
「リョウカ様…」
「約束の証として」
「リ、リョウカ様!!」
顔を上げた綾華は帯から短刀を手に取り自らの後ろ髪を掴むと肩口からバッサリと斬り、部屋に居た全員が慌てる中平然と畳に置いて深く頭を下げる姿に祖父へと視線を移す
「綾華、顔を上げよ」
「はい」
「今回の件、お前に全権を委ねる。お前の好きにせい」
「ありがとうございます」
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