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「お呼びでしょうか、お祖父様」
「うむ。話にあった通り、お前を―――」
「はい、確かに承りました」
「綾華……お前はリクオよりも妖怪の血を色濃く受け継いでおる。お前が望むなら3代目を継がせても良いと思っておる」
「お祖父様、古(いにしえ)より長(オサ)とは男の継ぐモノ。もし兄が放棄する事があれば、その時は名乗りを上げさせて頂きます」
「……承知した」
「行って参ります」
「今日転校してきた子らしいが、及川さんの紹介により清十字怪奇探偵団に入ってくれるそうだ。入って来たまえ」
「奴良 綾華です。よろしく」
清継達がよく部室代わりに集まる1-3の扉が開き綾華が顔を出すと約一名声を上げつつ目を見開き彼女を見つめ、綾華はニッコリと微笑みながら軽く頭を下げる
「えぇぇぇぇ!?」
「もしかしてリョウちゃん?」
「よろしくね、兄さん」
「リョウ、聞いてないよ?」
「えぇ、言ってませんから」
「……リョウ…何故…」
「兄さん?」
「隣町の女子校に通ってた筈のリョウが何故浮世絵町の、よりにもよってボクの通う学校に転校してくるの!?何故一言……リョウから何も聞いてない!!」
「……兄さん」
リクオが感情的になって叫び鞄を掴んで教室を飛び出して残された綾華は俯きながら拳を握り締め、リクオが知っていると思っていた雪女は狼狽えながら綾華に近寄り肩を支える
「何だい?喧嘩は止めたまえ」
「いいんです、止めないで。兄さんが怒る程の事をしたのだから……いいんです…今日は帰ります。また呼んで下さい」
「ぁ、あぁ。気を付けて帰りたまえよ」
「リョウカ様、ご一緒します」
「リョウカ様は?」
「……」
「そうか……雪女から事情は聞いたが…」
「……お辛いだろうな」
「リョウは?」
雪女や首無が綾華が籠もっている部屋の前で話し合っていると不意に背後から声を掛けられ、一斉に振り返ると着流しに着替えているリクオが不機嫌そうな顔で立っていた
「わ、若!?」
「リ、リョウカ様ならお部屋に」
「分かった」
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