連詩 紅玉から始まること

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11 最後の口上 言葉はすべてを巡ることはできない だから言葉のおぼつかない足どりを 指先でたどたどしく伝っていった 紅玉は再び実るだろう しかしこの木の根は深くコアの回りまで及んでいて 海の物語など寄せ付けもしない 太郎と花子はやがて土の上に眠る その躯からは幾万というキノコが生える 言葉の間隙は常に幅広く開かれていて そこには再び夢見て漕ぎ出す真っ青な水夫の眼差しが 浮かんではいないか 紅玉が結ばれる 島の火を求めて
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