怪衰欲

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幽霊騒動から数週間、大分落ち着きを取り戻した教室でセンセーの授業(いつでも呑める! 会える! タダ酒豪華百選!)を聞き流していた。別に聞いたところで今すぐ役に立つわけではないし、そもそも勉強ではないからだ。 この前の試験でこの類いの問題が出たときには殺意を覚えたが、もう出ないと言うより出させないから大丈夫だろう。 ふと、窓の外に視線を移すと、なんと、窓にセミが張り付いた。 珍しい光景に立ち上がりそうになったが、堪えた。 「……だからな、ここは夕方の五時頃に行くといい……」 セミの声がセンセーの声をかき消した。 「……うっせぇぞおらぁ!」 怒号が響く。 弾かれたように窓に向かっていったセンセーはその拳で窓を粉砕した。 教室からざわめきが起こる。 「あちぃよ! というわけで、かいすいよく行くで!」 なぜか関西弁になってしまったセンセーは、分身の術顔負けの動きで黒板の内容を書き換えた。 そこには、集合時間、場所、費用が描かれていた。 アスカが手をあげる。 「センセー、私達も自腹ですか先生」 「お前なぁ、明らかにわざと間違えたろ。ほら、笑ってるじゃねぇか。自腹に決まってるだろ……いや、大丈夫だな。じゃあ、今日は解散!」
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