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「ははは嘘だよ。ちゃんとしたマムルのお面だよ。それでさぁ、いっしょに祭りを楽しまない?」
もしこの男が本当にシレンではなくても大丈夫だろう。なぜかこの男には負ける気がしないのだ。
「ああいいよ。乗ってやろうじゃないかい。ねぇアスカ」
アスカに同意を求めると、彼女は笑顔で頷いた。
「それじゃあいこうか……と言いたいところだけどごめん」
お祭り仮面は頭を掻いて、申し訳なさそうに言った。
急になんだ?
「拙者のお祭りセンサーが鳴っているでござる……これは、祭りを荒らす良からぬ輩がおるなぁ。いま行くでござるぞ!」
そう言って、目にも止まらぬ速さでどこかへ去っていった。
お祭りセンサーってなんだ……。
「行ってしまいましたね」
アスカが儚げに言った。
自分から誘っておいていなくなるとは……まぁ後でガツンと言ってやろう。
「どこか他の店行こうか」
促すと、アスカは頷いた。
「彼も忙しいようですね」
まるで子供を見るような目でお祭り仮面が去っていった方を見た。
彼の正体も気になるが祭りを楽しまなければ損だ。
恐らく、祭りという行事のせいで、シレンも舞い上がっているのだろう。
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