奇妙な仮面

4/10
前へ
/279ページ
次へ
「ははは嘘だよ。ちゃんとしたマムルのお面だよ。それでさぁ、いっしょに祭りを楽しまない?」 もしこの男が本当にシレンではなくても大丈夫だろう。なぜかこの男には負ける気がしないのだ。 「ああいいよ。乗ってやろうじゃないかい。ねぇアスカ」 アスカに同意を求めると、彼女は笑顔で頷いた。 「それじゃあいこうか……と言いたいところだけどごめん」 お祭り仮面は頭を掻いて、申し訳なさそうに言った。 急になんだ? 「拙者のお祭りセンサーが鳴っているでござる……これは、祭りを荒らす良からぬ輩がおるなぁ。いま行くでござるぞ!」 そう言って、目にも止まらぬ速さでどこかへ去っていった。 お祭りセンサーってなんだ……。 「行ってしまいましたね」 アスカが儚げに言った。 自分から誘っておいていなくなるとは……まぁ後でガツンと言ってやろう。 「どこか他の店行こうか」 促すと、アスカは頷いた。 「彼も忙しいようですね」 まるで子供を見るような目でお祭り仮面が去っていった方を見た。 彼の正体も気になるが祭りを楽しまなければ損だ。 恐らく、祭りという行事のせいで、シレンも舞い上がっているのだろう。
/279ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加