奇妙な仮面

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時間が経つにつれ、祭りを堪能する人が増えて来た。 が、なぜか奴との接触率は高いようだ。 「はっはっは。また会ったな」 何件か回ったところで再び奴に会った。 右手にチョコバナナを持っている奴に。 「あのさぁ、自分から正体ばらすようなマネはやめたほうが……」 「何を言ってるのだ? 拙者はお主の友人ではないのだぞ」 言うなり、お面をわずかに上げ、チョコバナナを口に運ぶ。 そのせいで顎と口が見えたが彼は気にしないようだ。 「オー。サムライボーイにアスカにドラゴンガール! みんなもいたの!」 背後からの声に振り返ると、ミリィだった。 「誰がドラゴンよ。お竜だよ」 前々からこの呼び名は気にくわない。 ミリィはソーリィと謝ると、お祭り仮面を見た。 「あれ? いつもいっしょにいるフェレットは?」 お祭り仮面は私達にやったのと同じくだり(長いから省略)をやり、説明した。 「なるほど。それじゃ、射的やろうよ!」 ミリィの誘いにお祭り仮面はよかろうと乗り気だ。 「私は見てるよ。お竜さんは?」 アスカはやらないようだ。 「私は……やめとこ。射的自信ないし」 本当のことを言うと、二人の対決を見てみたい。 私達は射的屋に移動した。 射的屋にはすぐについた。 店の中の三段の雛壇には多くの景品が並べられている。 雛壇と言っても、後ろに壁が無いため、弾が当たると後ろに落ちる仕組みだ。 お祭り仮面とミリィが一回分の料金を払うと、ミリィが言った。 「五発撃って、多く倒したほうが勝利よ。準備はOK?」 「いつでもいいぞ」 お祭り仮面が銃に弾をこめた。 「レディー……GO!」 ミリィが開始を合図すると同時に一発撃った。 弾はマムル人形(小)を後ろに落とした。 「うわ……」 思わず声が漏れた。 射撃を得意とするミリィの本気を見るのは久しぶりだ。 対するお祭り仮面は……。 「なっ!? あら!?」 一発、二発と外している。 やはりお面のせいで前がうまく見えないのか。 「がんばれ、お祭り仮面」 アスカが軽い声援を贈る。 「イエス! ショット!」 ミリィは三発目で、チビタンク人形(中)を落とした。 これで2対0。 お祭り仮面は三発目を外した。 「ああもう……邪魔これ!」 お祭り仮面はお面を外し、アスカに預けた。 その素顔は完全にシレンだ。
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