『変わる』と『程度』

11/20
前へ
/36ページ
次へ
「さて、蓮の住居も決まったので帰らせてもらいますよ」 そう言うと、衣玖は玄関に向かった 「えっ、もう帰るのか?」 外を見ると陽はまだ高く上っている 感じとしては大体3時ぐらいだろう 「えぇ、そろそろ本職に戻らないといけないので」 そう言って衣玖は外に出ていった そして遅れてガチャリと扉が閉まる音がした 「天子、本職って?」 衣玖は天子の教育係をやってるとは聞いたが、あの場で本職があると言ったのだから何か別に仕事があるのだろう 「衣玖の本職は龍の使いよ 教育係は副業みたいなものね」 「龍の使い?」 衣玖から聞かされた話では龍は幻想郷の最高神で龍神と言われたりするらしい 「龍の使いというのはそのままの意味よ 龍の言葉を使いが聞き、それを皆に伝えるのが龍の使いの仕事よ」 それだけ言うと、先ほど看病してもらった時に使ったベッドの上にゴロンと寝転がった 「へぇ、じゃあ衣玖は案外偉い人なんだな」 「そうかしら?」 「だってさ、最高神の使いだぜ? 凄く偉そうじゃん」 「そうなのかしらねぇ・・・ あ、蓮の部屋を忘れていたわ 確か隣の部屋が空いてたはずだから適当に使っていいわよ」 「あぁ、ありがとう」 「どういたしまして 私は疲れたから少し寝るわ ・・・・・もし襲ったら殺すからね」 天子を見ると欠伸もしてるし本当に眠そうだ 「俺がそんな事する人間に見えるか?」 「そう見えない人が襲ってくるのが今の時代なのよ」 ・・・・なるほど、それは案外間違ってないかもしれない 「ふっ、否定出来ねぇわ じゃ、おやすみ」 そう言って天子の部屋から出ていった さて、確か隣の部屋だったよな 「ここか・・・・」 天子の部屋のすぐ隣に一枚の扉があった 多分ここだろ そして、すぐにガチャリと扉を開け中に入る 「う・・・・うわぁ・・・・汚ねぇ」 部屋に入ると中はタンス一つと小さなテーブルが一つ置いてあるだけの質素な部屋だった そして何より目が付くのは部屋中に充満する埃の量 部屋の隅には蜘蛛の巣まである こりゃ、嫌でも掃除しないと肺病になりそうだ
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加