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「これが『花鳥風月(セイク-)』・・・」
自分の『花鳥風月(セイク-)』にちょっとした感動を感じていると、天子に肩を組まれた。
天子の方を見ると悪戯っぽい表情をしている。
なんかもう・・・・嫌な予感しかしねぇ・・・
「羽が生えて飛べるようになった事だしさっさと行くわよ!」
それだけ言うと、俺の首をしっかりと腕で固定して倒れる。目の前には清々しい崖。
「ちょっ!? 待て! おいコラァ・・・・うぎゃあああああぁぁぁぁ!!!」
必死に腕をほどこうとするが、この女どこにこんな力があるんだよと思える程固く、そして俺は天子と共に真っ逆さまに落ちていった。
「うおおおぉぉぉ!!」
「煩いわね・・・耳元で騒がないでよね」
そう言うとパッと腕の力を緩め、離れた。
そうなると、俺は天子という名の命綱を失い・・・・・やべぇぇぇ!!!
「バカ天子! 勝手に離すんじゃねえぇぇぇ!!」
「私がいなくてもそのヘンテコな羽があるじゃない」
天子は真っ逆さまにも関わらず両手を頭に付け余裕の表情(3割のドヤ顔を含む)で言う。
「ヘンテコ言うな!」
「そんな事はどうでも良いわ。 じゃあ私は更なるスピードを味わいたいから先行くわね」
「ちょっと待て! 俺、まだこいつの扱い全然分かんねぇだけど!?」
「人間追い詰められれば何でも出来るわ。 じゃあね~」
それだけ言うと、さっきの3倍ぐらいの速さで落ちていった。
「・・・・・」
冷たい風が俺の体に当たり寒い。 どうしよう・・・・1人になっちまった。
「良し、ここは俺らしくこの状況で『花鳥風月(セイク-)』をマスターしてやるか」
ふっ、と軽く息を吐き気合いをいれると『花鳥風月(セイク-)』に神経を集中させる。
地上はまだ見えない。 まだ時間はある筈だ。
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