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「2人共、早く戻れよぉ」
この、変に間延びした声は加藤先輩だ。
先輩はモテるはずの容姿なうえいい人なのだが、喋り方のお陰で彼女いない歴=年齢という記録更新中だ。
「すんませぇん」
「ふざけてないでさっさとしろぃ」
物真似をしたら頭を叩かれた。
「先輩、喋り方どうにかしたらどうっすか」
「余計なお世話だ」
「そんなんじゃモテないっすよ」
ナオトが隣から口をはさんだ。
「いいんだよぉ」
それから先輩は「大勢にモテなくて」と続けた。
「…好きな人、いるんですか」
加藤先輩は少し照れたように言った。
「いる」
俺が黙ると、先輩は恥ずかしくなったのか、もう一度俺の頭を叩いた。
「ほら、いくぞぉ」
加藤先輩とナオトが皆のもとへ歩いて行くのを見る。
そして俺は考える。
恋ってなんだ。
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