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クロウとジャックの喧嘩が始まって間もなく、黒いDホイールの青年が噴水広場に着いた。
「えーと、地図によればこの辺なんだけど…
あ!あの人たちに聞けばいいかな?」
黒いDホイールの青年が目をつけたのは言い争っているジャックとクロウだった。
Dホイールを手で押しながら青年は二人に近づいていく。
近づくにしたがって、青年は二人が喧嘩の真っ最中であることに気づく。
(き、聞きづれぇ
でもあの人達も確か遊星の知り合いだったはず)
青年は二人の近くにDホイールを止めた。
そして、二人に訪ねた。
「あのぅ、すみません」
青年が声をかけると、ジャックとクロウは無言で青年を睨み付けた。
(うぉう!!?
何で声かけただけで睨まれなきゃなんねぇんだよ!?)
そう心の中でぼやきつつも、青年は愛想よく笑顔で話し出す。
「この辺に不動遊星がいるって聞いたんですけど、どこにいるか知りませんか?」
二人は一度顔を会わせて、もう一度青年を見た。
「貴様、遊星に何の用だ」
ジャックの高圧的なしゃべり方に青年は少し怖じ気づく。
「ただ、実際に会いたいのとDホイールを見てもらいたいのと、あとこの辺りに住む予定なので挨拶も兼ねて、ってところです」
そこまで言うと、クロウは笑顔で話しかけてきた。
「なんだそういうことか
悪かったな変に睨んじまってよ
俺はクロウ
よろしくな」
クロウは手を出し、握手を求めた。
青年はその手を握り、自己紹介をする。
「僕はレイ
レイ・リンドヴルムです」
敬語で話されるのに慣れていないのか、クロウはソワソワしている。
「あのよ、敬語はなしでよろしくな?」
敬語で話さなくていいと分かるや否や、レイの纏う雰囲気が変わった。
「あ、そう?
よかったぁ、馴れ馴れしくすると変かなって思ってたからさ
助かるよ」
レイとクロウが和気藹々と話しているにも拘らず、ジャックの顔は険しいままだった。
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