手に入れた束の間の平穏

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『レイ・リンドヴルムへ 君がこの手紙を読んでいる頃には、俺はこの世にいないだろう。 君には大事な指名がいくつかある。 一つ目は、アクセルシンクロを会得することだ。 アクセルシンクロは通常のシンクロ召喚とは違い、シンクロチューナーとシンクロモンスターでのみ行える進化したシンクロ召喚だ。 だが、それだけでは足りない。 アクセルシンクロには、上記の他に、何物も恐れない、―クリアマインド―と呼ばれる境地に達することが重要だ。 クリアマインドはそう簡単に到達できるものじゃない。 自分を信じろ。 仲間を信じろ。 そうすれば、いずれ辿り着けるはずだ! 俺は、本当は裏切り者の始末などしたくなかった。 自分が死ぬのも嫌だった。 我が儘だよな。 しかしな、何故だかお前を見ていると、始末をしたくないだの、死にたくないだの、どうでもよくなってしまった。 だから、デュエルは少しだけ手を抜いた。 分かるだろう? 俺が敢えてルミナスを召喚しなかったことを。 もし、一つだけ願いが叶うなら、お前と共に同じ道を歩きたいよ。 ヒュージより』 ヒュージ。 男の名前なのだろう。 彼は、どれだけ優しくて、それでいて弱かったのだろうか。 彼の思いの証として、レイは彼のデッキの一部を自分のデッキに組み込むことにした。 彼の願いを少しでも叶えるために。
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