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(ん…此処は…どこ?身体が痛い…)
やっと目を覚ました雛袖は此処がどこなのか分からないでいた。
「目が覚めましたか?」
どこからか見たことのない男が急に部屋に入ってきて驚いたが、同時に確信した。私は逃げのびたのだと。
「あの、此処は何処ですか?…貴方はいったい誰?」
「ああ、申し遅れました。ここは壬生村の新選組頓所ですよ。そして私は一番隊組長の沖田総司です」
(…新選組…沖田総司…)
「はじめまして。わたくし、天ケ瀬 雛袖と申します。此方は新選組というところなのですね?」
沖田は正直驚いた。まさかこの京で新選組の名を知らない人がいようとは夢にも思わないからだ。
「おい、お前、何故あんなところで倒れてた?行き倒れか?」
男が意地悪く言うと、雛袖は俯いてしまった。
そんな彼女を見て沖田があわてて土方を制す。
「土方さん!そんな意地悪言わないでください!ほら、この子落ち込んじゃったじゃないですか!ねぇ、一くん。」
そう話を振られ思わず首を縦に振ってしまうこの一と呼ばれた男は三番隊組長、齋藤一だ。居合いの達人と言われる彼は至って冷静だが、どこかぬけていた。
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