はじまりの光

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(暗くて、寒い。) (ここは…どこ?) (?) (牢屋…) 静かな部屋の中、やっと目が覚めた雛袖はしばらく黙っていたが、ようやく自分がおかれている状況を理解した。 縛られた手が何よりの証拠だった。 (監禁されたんだ…儀式に失敗したから…) そんなことを考えてるときだった。 急に鉄格子が開いたのだ。 そして、入ってきたのが、父と母だった。 「…父上、ははう…!?」 パシンッ! 言い終わらぬうちに母が雛袖の頬を力いっぱい殴った。 思わず殴られた片頬を手で覆いながら見上げると、父が雛袖の胸ぐらを掴み、睨み付けながら言った。 「この、出来損ないが!私たちがなんのためにお前を育てたと思ってるんだ!全く、こんなにできの悪い娘だとは思わなかったよ!正直幻滅したよお前には。」 目を、疑った。 仮にも、実の娘にこんな暴言を吐き、殴りつける親がどの世界にいるだろう。 「お前、この儀式が失敗したからには、なにが起こるかわかっているな?せいぜい、覚悟しておきなさい。3日3晩、死よりも恐ろしい恐怖を味わうことになるだろうからな」 両親が出ていった後、雛袖は壁に寄りかかって考えた。 --死よりも恐ろしい恐怖…。 規定の年齢にさしかかったときに、一度読まされたことがある。 天ケ瀬家のしきたり。 今日のこの儀式は、御家がいつまでも末永く盛んでいられるように、というまじないのようなものだ。 しかし家の人間はその儀式を真面目に行う。 いつまでこんな儀式を続けるのか、しかし、この儀式にはなにか他に理由があるような気がしていた。 そして、私が受ける罰も書いてあったとふと思い出す。 儀式に失敗した者は、3日3晩の、親族からの虐待を請けることになる--。
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