*その場所で*

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「おっす。 調子はどんな感じ?」 「おぅー。マモルかぁ? 暇してたから丁度良かったわ」 苦手ナースと入れ違いに病室に入ってきたのは、高校からのツレで親友の安川マモル。 マモルは丸椅子に座りながら、手に持っていた紙袋を俺の顔の前に差し出した。 「あっ。これ、嫁さんから頼まれたお見舞い。」 「おっー。サンキュ。美奈ちゃん元気か?」 「毎日船酔い状態でくたばってる…」 「そーかぁ? つわりは辛そうやもんなぁ。 俺とこも結構ひどかったからわかる。 まぁ、そういう時は早く帰ってあげる事が夫婦円満の秘訣らしいぞ?」 マモルの奥さんの美奈ちゃんは、現在第一子を妊娠中。 長い不妊治療の末に授かった赤ちゃん。 「そうやな。真面目に家帰るわ。」 呑みに出かけるのが大好きなマモルは苦笑いしながらそう言った。
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