特別講習会

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目の前に積まれた薄い本の山に何とか気力を保ちながら彼女はため息をついた 「これを用意するくらいなら専門家でも呼べばいいでしょうに」 薄い本は意外と高価で山になるほど買うには諭吉さん10人でも足りないだろう 彼女が好きな作家ばかり取り揃えられたその山は、彼女と同じ嗜好のものには涎ものだ 何せ初版限定の話やら作家同士のコラボやら、出回る部数も少ない薄い本の中に夢のような内容が詰まっているのだから 何故直売限定のグッズまで揃えられたのかをすごく聞きたい しかしこれだけ金と手間暇と労力を使うならば、彼女ではなく医師や専門家に講師をしてもらった方が確実で速い 疑問に思う彼女に目の前に座った男2人は笑った 「この間は迷惑かけちゃったし…お詫びの意味も兼ねて」 「講習会に参加するのはみんな俺達の友人で、嫉妬深いんだ」 この間、深夜3時という頭の沸いた時間に訪問してきた少女のような男と、その恋人であるひょろ長い身長に整った顔ではあるが年齢不詳な男が答えた お詫びといいながら仕事を押し付けられていることに苛立ちはするが、目の前の本の山の値段を計算した彼女は渋々頭の中のみで暴言を吐いた †
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