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黄牙が一刀を振りかざした瞬間、それを弾き返すコジロー。
たじろぎながらも黄牙は、目を丸くしたかと思えば、急に様子を変えた。
「くくくく……」
必死に笑いを堪える黄牙に、その異変を察知したコジローは一定の距離を取る。
黄牙は自身の手で顔を覆いながら耐え切れずに高らかに笑う。
「わっはっはっはっはー!!」
「…己の勝機のなさに気でも触れたか。」
コジローのその言葉は最もまともで妥当な判断であった。
しかし、事態は一変することとなる。
「貴殿よ、儂が何故、ここまで大掛かりな事をしてまで貴殿との対峙を望んだかわかるか!?」
黄牙のその言葉に、鋭い視線を向けたまま返答をしないコジロー。
黄牙は続ける。
「儂に勝機があるからよ!人狼化してもなお人としての意識を失わず、力のみ向上できたことの真の意味、それは儂にとっての絶対的勝利にある!!」
背中に致命傷を負いながらなお勝機がみえるという黄牙の言葉に、ただ耳を疑うしかないコジロー。
ただの世迷言とは思えない、自信であった。
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