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俺はたまらず振り返り猫の方を向く。
するとその猫は俺に視線を合わせたまま、動こうとしない。
俺は恐る恐るその猫に尋ねる。
「今…喋ったの…お前か…?」
たまらない恐怖に駆られる。
猫が人間の言葉を話す訳がない。
幾らなんでも、こんな暗がりの路地で、今にも心霊スポットにでもなりそうな場所でも、猫が喋るなんて心霊現象が起こってたまるものか!
そうだ。
空耳だ。
きっとアパートの住人か誰かが大きな声で話していた話し声が聞こえてきただけ。
そうだ…!
そうに決まってる…!
だが、俺のそんな考えは意図も簡単に崩される事となった。
「……此処は魔霊霧(ミスト)が濃い。……長居しちゃダメ。」
…俺は猫が喋るのをハッキリとこの目で見てしまったのだ。
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