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学校から帰る者や部活をする者。
早苗と親友の渚は二人で帰り道を歩いていた。
「なぁなぁ、渚。あの噂、ほんまなんかな…?」
そう早苗が聞くと渚は腹を抱えて笑い出す。
「何や?そないな話信じとるん?嘘や嘘。信じる方がアホっぽいで!」
自信ありげに言う渚に早苗は微笑み頷く。
二人は暫くすると噂の事など忘れていた。
「なぁ、早苗!あそこの新しくできたカフェ寄って行かへん?あたし、一度寄りたかってん!」
「そやね!寄ろう寄ろう!」
そう言い新しくできたカフェに二人は入って行った。
<カランカラン♪>
店のドアのベルが鳴る。
二人は空いてる席に座り注文した。
暫くして注文した料理が運ばれ二人で共に食べた。
刻々と迫る時間を忘れ…
◆◇◆◇
「あぁー食べた食べた。腹いっぱいや!」
「そうやね!もう食べられへんわ」
二人は店から出て駅に向かう。
空が緋みを帯びているにも関わらず、賑わう商店街を抜け。
もう少しで目的地の駅に着くという所でふと早苗が立ち止まる。
渚は立ち止まった早苗の方を不思議そうな顔で見る。
すると早苗が不思議な事を言った。
「何や、"寒く"あらへん?」
言われてみれば夏も中旬、まだ暑い盛りだと言うのに肌寒くて仕方がない。
早苗と渚は例の"噂"の事を思い出した。
『何時になく寒い"逢魔が刻"には、外には出るな。雪女子に連れていかれるぞ。』
今の状況に当て嵌まるではないか。
二人は急に恐くなり、足速に駅へと向かった。
暫くして二人の目の前に駅が見えた。
二人は駅のホームに立ち、先程の事を思い出す。
また恐くなったため考えないようにした。
駅には沢山の人がいた。
仕事を終え帰るサラリーマンや自分達と同じ高校生、家族連れも見える。
ふと二人は一点だけ凝視した。
自分達の向かい側のプラットホームに銀髪の長い髪をした純白の着物を着た人がポツンと立っているではないか。
二人は何故かその人がとても気になった。
前髪も長いので顔はよく見えないが、髪の間から少し見える肌は雪の様に白い。
何故か二人はその事に恐怖の念を持つ。
ただ、肌が色白なだけとはこの時思えなかった。
電車が来たため早苗と渚は乗った。
電車からその人がいた所を見ると、水溜まりがあるだけだった。
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