21182人が本棚に入れています
本棚に追加
/458ページ
.
いつも新学期を迎えるごとに、後ろの席には彼がいた。
それが恒例の年中行事だ。
「でもさ……会津って。」
「ん?」
「何だかんだで、いちばん話しやすい存在だったかもしれない。」
ふいに新居が、そんなことを言ってきた。
「そう?」
「うん。俺あんまり、女子と話すことなかったし。」
「……確かに。」
クラスで特別浮いている存在というわけではなかった。
しかしどこか他の人とは違うオーラを感じたのは、不思議なほどに落ち着いていて、大人の雰囲気が漂っていたからかもしれない。
どちらかと言えば、一目置かれている存在と言った方が当てはまる。
それでも私の人見知りしない性格から、この彼をそんな風に特別視したことはなかった。
だから彼も、話しかけやすかったのかもしれない。
「……会津は、これからどうするの?」
「へ? 私?」
「うん。進学組だったっけ?」
.
最初のコメントを投稿しよう!