―日常―

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「待てよ杉並!どこ行くんだ」 「ま、黙ってついてこい」 ったく、こっちの事情は無視ですかい。 ************ そうして杉並は校門を出て――、 桜並木を抜け――、 桜公園に入り――、 「って、どこまで行くんだよ」 「なぁに、ちょっとそこまでな」 そして気付けば、道と言う道がない森の中へと足を踏み入れていた。 「お、おい、杉並……」 「……着いたぞ」 「へ?」 開けた場所に出た。 そこにはあからさまに怪しげな洞穴があった。 入り口には有刺鉄線が張り巡らされている。 「まさか、お前……」 「どうだ桜内、素晴らしいだろう?こんな森の奥深く……ひっそりと口を開く洞窟……ついに俺たちは、UMAと遭遇するチャンスを得たのだ!!」 「…………」 俺は入らん、入らんぞ。 ましてやこんな洞穴、入ったら何が起きることやら……。 しかも、入り口は有刺鉄線が張り巡らされているんだぞ? 「ふっ、安心しろ桜内。ペンチならここに」 そう言いながら杉並は有刺鉄線を切断していく。 「てか、何でペンチなんか持ち歩いてるんだよ……」 「七つ道具の一つだからな。これくらい持っていて当然だ」 「………さいですか」 杉並は好奇心満載な表情でつかつかと洞窟へ入っていった。 ここまで来たら付き合うしかないな………。 そう思った俺は、不安を抱きつつ洞穴へ足を踏み入れた。
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