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「待てよ杉並!どこ行くんだ」
「ま、黙ってついてこい」
ったく、こっちの事情は無視ですかい。
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そうして杉並は校門を出て――、
桜並木を抜け――、
桜公園に入り――、
「って、どこまで行くんだよ」
「なぁに、ちょっとそこまでな」
そして気付けば、道と言う道がない森の中へと足を踏み入れていた。
「お、おい、杉並……」
「……着いたぞ」
「へ?」
開けた場所に出た。
そこにはあからさまに怪しげな洞穴があった。
入り口には有刺鉄線が張り巡らされている。
「まさか、お前……」
「どうだ桜内、素晴らしいだろう?こんな森の奥深く……ひっそりと口を開く洞窟……ついに俺たちは、UMAと遭遇するチャンスを得たのだ!!」
「…………」
俺は入らん、入らんぞ。
ましてやこんな洞穴、入ったら何が起きることやら……。
しかも、入り口は有刺鉄線が張り巡らされているんだぞ?
「ふっ、安心しろ桜内。ペンチならここに」
そう言いながら杉並は有刺鉄線を切断していく。
「てか、何でペンチなんか持ち歩いてるんだよ……」
「七つ道具の一つだからな。これくらい持っていて当然だ」
「………さいですか」
杉並は好奇心満載な表情でつかつかと洞窟へ入っていった。
ここまで来たら付き合うしかないな………。
そう思った俺は、不安を抱きつつ洞穴へ足を踏み入れた。
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