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意識が浮上する。
その先に見える世界は、いつもより小さい。
そして、この光景には見覚えがあった。
手を動かしてみる。
どうやら他人の夢ではないらしい。
『よしゆきぃ』
小さくて可愛らしい声。
その主は教室へ入ってくるなり、俺の元へ駆け寄ってくる。
『えへへ、またクラス一緒だね』
『そんなに嬉しいか?』
『だって、よしゆきが同じクラスじゃないと、他の男子にまたいじめられちゃうもん』
あぁ、そうか。この少女は小恋なのか。
男子に泣かされていたのを助けたら、それ以来ちょこちょこ後ろをついてくるようになった。
怪我したり、泣かされたりする度に俺がおんぶして帰ったっけ。
『よろしくね、よしゆき』
『ああ』
小恋という少女は、屈託のない笑顔を浮かべた。
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