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桜が舞う。
それは普段どおりの光景だ。
しかし、季節にはそぐわない光景。
そんな桜を、夕陽の赤が綺麗に彩っている。
その薄紅色はひらひらと、俺たちの帰りを見送ってくれているようだ。
「何か、懐かしいな」
「ん?」
「こうやって義之と一緒に帰るの、久しぶりじゃない?」
そういえばそうだった。
俺が朝倉家から芳乃家へ移ってからは、音姉や由夢と登校してるし、下校だって渉や亮と寄り道していくことが多々ある。
そう考えれば、小恋と二人で帰る機会はなかったな。
「小学校のときは、いつも一緒だったよな」
「だって、あの頃は義之がすごく頼もしくて……」
「何か、今は違うみたいな言い方だな」
「い、いやぁ、そんなことはないよぉ~」
小恋さん、思い切り顔に出てますよ。
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