―日常―

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「兄さん起きてー!遅刻しちゃうよ!」 「んー……あと5……時間……」 「それは長すぎですから」 朝っぱらからかったるい病の妹に揺り起こされる。 冬というのは、誰だって布団が恋しい季節なのだ。 この幸福を優雅に味わっていたのに…… 全く、空気の読めない妹だな。 俺は感情をぶつけるかのように由夢を睨んだ後、時計に視線を落とした。 「って、うわ!こんな時間か!」 「だから遅刻するって言ってるじゃない!早く行くよ兄さん!」 由夢は急いで部屋を出ていった。 俺はそれを見届けると、制服に手をかける。 それと同時に机の上にメモが置かれているのが目に入った。 『弟くんへ、キッチンにお弁当置いておくから、ちゃんと持っていってね。お姉ちゃんは生徒会のお仕事があるから、先に行きます』 「音姉サンキュー」 俺は、今日のおかずは何だろうと期待を膨らましつつ、制服に着替えはじめた。
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