―日常―

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*********** 「1600年、徳川家康率いる東軍と、石田三成率いる西軍は、関ヶ原でぶつかり合い……」 昔の話を今さら掘り返しても仕方ないのでは、という疑問を抱きつつ授業を受ける。 まぁ、一般教養として覚えておくに越したことはないのだが。 「義之……義之……」 ふと声が聞こえてそちらへ顔を向けると、渉が呼んでいた。 「何だ?」 「お前、どっちが好みだ?」 そう言いながら、雑誌のある1ページを突き付けてきた。 どうやらグラビアの特集らしく、今話題のグラビアアイドル二人がどんと大きく載っていた。 「てか、授業中だぞ」 「何言ってんだよ義之。男たるもの、いつでもどこでも最新情報はチェックしとかねーと!」 「お前の場合はアイドル関係だけだろ……」 渉はルックスだけならモテるだろう。 が、こいつは変態の極みなので、女子には全く好感を持たれていない。 「俺は左かな。義之はどっちよ?」 そういって後ろから覗き込む亮。 彼、二木亮(ふたつぎりょう)は渉同様、ルックスがいい。 ただ渉とは逆に、性格は良くて運動神経もいいので、女子にはモテモテだ。 「よくわからん」 「何ぃ!?義之にはこのおなごの良さがわからんのか!?」 「おなごってお前……」 「はは、まぁ義之にはよくわからんだろうな」 渉にはわけわからんこと言われ、亮には皮肉っぽいことを言われ。 俺ははぁーっと大きなため息をついた。
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