20人が本棚に入れています
本棚に追加
************
ぐぅぅー
怪物でも潜んでいるのではないかというくらい、俺の腹は激しい音を立てて鳴った。
「わお、義之くんてばすごい大きい!」
「勘違いするようなセリフはやめましょう」
俺の前の席の、花咲茜は怪しげな笑みを見せる。
「ちょっと、茜ぇ~……。他にも人いるんだから……」
そう言っておどおどする俺の幼なじみ・月島小恋。
「あら、小恋は一体何を想像してたのかしら……」
そんな小恋をからかうように呟く雪村杏。
この三人は仲が非常に良く、周囲からはその見目麗しい姿から『雪月花三人組』と呼ばれていたりする。
「ねぇ、小恋ちゃーん?何を想像してたのー?」
「うぅー、言わないもん」
いつも通り、小恋いじりが始まる。
隣では渉がヨダレを垂らしながらその光景を眺めていた。
「あぁー、俺も月島をいじりてぇー!」
バシッ!
途端、渉の頭には強烈なチョップが炸裂した。
「渉、死刑」
「ぐ、ぐぉぉ……」
渉にチョップをお見舞いしたのは、同じクラスメイトの風越悠(かぜこしはるか)。
非常に男勝りなのだが、それ故か男子より女子に人気がある。
「さぁ義之、亮。渉なんか放っといて、飯食おうぜ」
とまぁこのように、男子は名前で呼び、
「雪村、花咲、月島、お前らも早く」
女子は名字で呼ぶという、世間的に常識はずれなやつなのだ。
「悠、容赦ないな」
「普段の振る舞いを考えたら、これくらい当たり前だ」
全くその通りでございます。
俺と亮は渉に同情せず、弁当へと手を付けた。
最初のコメントを投稿しよう!