第1章

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『迷惑って、そんなの気にしてないし…。って、森さん、何してたの?』 『わっ、私ですか、あの、今帰ってきたばかりで…。 雨が降ってきて、傘を持ってなくて…。それで…、えーと。』 『仕事?いつもこんなに遅いの?てか、雨ねぇ。降ってたっけ?』 『えっ?降ってないんですか?』 嘘?あんなに降ってたのにって思いながら、ベランダから外を見た。 『降ってないけど、俺んとこは。』 確かに、降ってない。すでに止んでいた。何か天気に振り回されたな…。ついてない。 『森さん?聞いてる?』 『あっ、はい。聞いてます…。 益田さんは、いつも遅くまで起きてるんですか?』 『うん。けど、今日は、テレビ見ながらうたた寝してたわ。』 そうなんだ。何か想像するだけで、幸せかも。 『ごめんなさい。何か、訳わかんない電話で…。』
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