第13章

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そっと、頭を撫でてくれる真沙子。その手が、暖かくて涙が頬を伝う。 『病気がわかった時には、もう手遅れで…。なのに、私は、自分の気持ちを変えられなかった。』 私は、流れ落ちる涙を指で拭いながら、話を続けた。 『弱っていくお父さん、それでも、ずっと心の中でお父さんを責め続けると同時に、男の子じゃなかった自分に負い目を感じてた。』 『うん。』 『成人してやっと、私の誤解だった事、お父さんは、すべて気付いていた事……、知ってっ。 最近、思い出してばかりで…。』 『うん。』 『私、何を見てきたのか、人を愛せるのか、愛してもらえるのか不安なの…。』
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