307人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
お父さんの事を、まともにお母さんと話せたのは、二十歳の時。
小さい時に盗み聞きして、男の子が欲しかったという事実を知った。
ずっと、疑いの目で、お父さんの愛を感じながら、男の子だったらと思う気持ちも強かった。
お母さんも、私の異変に気付きつつも、お父さんに止められていたと言った。
一度でも、がっかりしてしまった事は確かだと、責められてもしかたないと…。
すべてを知った私は、お父さんに会いたくてしかたなかった。
でも、お父さんとの思い出に触れる度、苦しくて…。
泣くことしか出来ない自分。
思いをぶつける事も出来なくて、ただ悲しい思いを父にさせてしまった後悔だけが募って…。
すれ違う思いだけはしたくないって、恋をする事に踏み出せなかった。
最初のコメントを投稿しよう!