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やっと来れた。
満開に近いくらいで、風がそよぐ度、花びらがヒラヒラ舞い降りる。
あの日以来、ずっと来てなかった。
あの日、純粋に悲しめなかった私が、初めて父を思って涙した。
『咲子。お待たせ。』
車を駐車場に置きに行ってくれた聡史が、荷物を肩からぶら下げながらやって来た。
『ありがとう。重たかったでしょ。』
荷物を受け取り、ビニールシートを取り出し、広げて敷いた。
後、お弁当と飲み物など、せっせと取り出す私。
聡史は、お弁当の蓋を開け、おいしそうって言いながら、セッティングしてくれた。
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