第6章

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私の涙に気付いていたかは、分からないけど、私の横で黙って夕日に染まっていく桜を眺めてくれた。 …男の子だったら、もっと早く出来たのに… 『ありがとうございます。』 『良かった。じゃあ、行くわっ。』 またなって、手を伸ばしてきた。 私も、ためらわずに手を握った。 そして、自然に笑みが溢れていた。 やっぱり、心地良いんだ。 そして、名前を知らない彼の後ろ姿を見つめている自分がいた。 中学3年生の春だった。
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